種別解説

樹木葬とは?種類・費用・埋葬方法と契約前の確認点を解説

樹木葬(じゅもくそう)は、樹木や草花を墓標(お墓の目印)にするお墓です。木のそばに遺骨を納める点は共通していても、骨壺を使うか、何人で利用するか、いつまで個別に安置するかは施設ごとに違います。

選ぶときは、見た目に加えて「遺骨の納め方」「人数と期間」「支払総額」を揃えて比べましょう。この記事では、初めて調べる方が家族と話し合い、見学で確認できるよう、種類と契約条件を整理します。

内容は2026年9月16日時点の公開情報を確認してまとめています。費用に全国共通の料金はありません。本文の金額は条件の違いを知るための公式料金例で、一般的な目安を検討する参考資料です。実際の費用・募集状況は各霊園へご確認ください。

樹木葬と一般墓・永代供養・散骨の違い

樹木葬は、お墓の外観や遺骨を納める場所を表す言葉です。一方、永代供養(えいたいくよう)は、家族に代わり寺院などが供養や管理を担う仕組みを指します。そのため、樹木葬に永代供養が付くこともありますが、同じ意味ではありません。

言葉主に表していること比較するときの確認点
樹木葬樹木・草花を目印とするお墓の形式遺骨を納める場所、容器、管理の契約
一般墓墓石を建て、家族などで引き継ぐ形式区画の使用条件、承継、墓石の維持
永代供養施設側へ供養・管理を委ねる仕組み引き受ける内容、期間、合祀の有無
散骨遺骨を細かくして海などへまく方法実施する区域・方法、参拝の場所

樹木葬で得るのは、契約条件に沿った区画の使用権などであり、土地の所有権ではありません。木を選べる施設でも、その木や周囲の土地が個人の所有物になるとは限らないため、植え替えや管理の範囲も確認します。

また、自宅の庭や所有する山へ遺骨を埋めれば樹木葬になるわけではありません。厚生労働省は、焼骨(火葬後の遺骨)を墓地以外の区域へ埋蔵することはできないと説明しています。検討する場所の許可や手続きは施設・自治体へ確認しましょう。厚生労働省の法律概要

供養の仕組みを詳しく知りたい場合は永代供養墓とはをご覧ください。このページでは、樹木葬を比較するときに必要な条件へ絞って説明します。

種類は「遺骨の分け方」と「周囲の環境」の2つで見る

青もみじに囲まれた日本庭園の池と石橋
樹木や草花のある風景のイメージ。樹木葬墓所の実例ではありません。写真:Muhammad Irfan / Unsplash(イメージ)

「庭園型だから個別」「里山型だから土に直接納める」とは限りません。パンフレットで使われる名称を見たら、まず遺骨の分け方を確認し、その後に周囲の環境を見ます。

遺骨の分け方は個別・集合・合祀

呼び方このページでの整理確認したいこと
個別型個人や家族ごとの区画に納める何人まで入れるか、個別の状態がいつまで続くか
集合型木や設備を共有し、遺骨は容器などで分ける容器が保たれるか、将来ほかの遺骨と一緒になるか
合祀型複数の方の遺骨を一緒に納める個人を分けて取り出せないことに納得できるか

合祀(ごうし)とは、ほかの方の遺骨と合わせて納めることです。一度合祀した遺骨は取り出せません。 個別のお墓へ移す可能性や、遺骨の一部を手元に残す希望がある場合は、納骨前に相談します。

この3分類は比較のための整理であり、名称の使い方は施設間で揃っていません。「集合型」と説明されても、容器を保管する方法と、土の中で袋が分解される方法では将来の扱いが違います。名称と一緒に、納骨場所の断面図や実物の容器を見せてもらいましょう。大阪北摂霊園の種類の解説

周囲の環境は通う場面を想像して比べる

里山の地形を生かした場所、園路を整えた公園のような場所、花壇や植栽を囲む庭園のような場所などがあります。これらも全国統一の区分ではなく、同じ施設が複数の特徴を備えることがあります。

環境の例写真に加えて見る場所
森林・里山にある区画坂道、足元、雨の後の通路、管理事務所までの距離
公園のように整えた区画日陰、休憩所、水場、混雑時の参拝動線
花壇・庭園のような区画花のない季節の景観、植え替え、名前の目印

「自然に囲まれたい」という希望と、「家族が車を使わず通えること」は両方書き出して構いません。どちらかを先に諦めるのではなく、候補の場所で希望をどこまで満たせるか確認します。

土に還るか・取り出せるかは納骨方法で変わる

樹木葬という名前だけでは、遺骨が直接土に触れるかは分かりません。骨壺のまま埋める施設も、粉骨(遺骨を細かくすること)して専用容器に納める施設もあります。自然の景色と、地下での遺骨の扱いを分けて理解しておくと、希望を伝えやすくなります。

たとえば横浜市のメモリアルグリーン樹木型納骨施設は、シンボルツリーの周りに骨壺を納める方式です。久光院の樹木葬では、個別埋蔵の場合、遺骨を粉末状にして専用の納骨管に納めると説明しています。同じ樹木葬でも容器と工程が異なります。横浜市の施設案内、久光院の納骨方法

質問回答で確認する内容
骨壺から移し替えますか元の骨壺の返却・処分、移し替えを行う人
粉骨が必要ですか全部か一部か、実施時期、料金に含まれるか
遺骨は何に入れますか壺・袋・管などの形、材質、土との間の仕切り
個別期間中に返還できますか返還できる状態、申出期限、作業費、必要書類
将来は場所を移しますか移動先、合祀の時期、事前連絡の方法

個別型でも、後から取り出せるとは限りません。 土へ直接納める方法や、時間とともに容器が分解される方法では、遺骨を分けて回収できない場合があります。また、物理的に取り出せるかだけでなく、使用規則で返還を認めているかも確認が必要です。

遺骨を別の場所へ移す希望が少しでもあるなら、「個別なので大丈夫ですか」と聞くより、「納骨から5年後に返還を求めた場合、どのような状態で返せますか」と質問すると具体的になります。実施済みの納骨を自分の判断で動かさず、施設と自治体に手続きを確認してください。

費用は人数・期間・追加料金を揃えて比べる

樹木葬の費用は、合祀か個別かに加え、人数、地域、区画の場所、安置期間、含まれるサービスで変わります。「1人分の使用料」と「夫婦2人分の一式料金」を並べても、そのままでは比較できません。

下表は2026年9月16日に確認した特定施設の公表料金例です。全国相場や上限・下限を示すものではなく、価格表示の条件を読み分けるために載せています。各施設の現在の募集状況を示すものでもありません。

公式料金の例人数・安置条件公表額と別途費用の扱い
久光院・納骨時から合祀1人合祀費用10万円+埋葬関連費5万円
久光院・個別埋蔵後に合祀1人、33年間個別個別埋蔵費50万円+埋葬関連費5万円
メモリアルグリーン・樹木型1体、使用期間は永年使用料14万円+管理料6万2,850円
風の丘樹木葬墓地2人、個別供養13年の区画72万円〜、別途年間管理費7,700円(税込)

出典:久光院、横浜市、風の丘樹木葬墓地。納骨・法要・彫刻などの最終的な内訳は各施設の見積もりで確認します。合祀を含む方式は、一度合祀した遺骨を取り出せません。

「墓石を建てない」と「石材関連の費用がない」は別

樹木葬でも、名前を刻む石のプレート、家族用の石製納骨室、区画を囲む設備を使うことがあります。従来の大きな墓石を建てない形式でも、プレート代や施工費が表示価格に含まれるかを確認しましょう。

たとえば、つつみ霊園の樹木葬には、御影石の石室に専用の骨壺を安置する区画があります。「樹木葬」という呼び方だけで、石材を使用しないお墓だと判断しないことが大切です。つつみ霊園の納骨方法

見積もりは、最初に払う費用、納骨のたびに払う費用、その後の管理費に分けると見通しが立ちます。費用の細かな相場を知りたい方は樹木葬の費用相場と内訳も参照してください。

支払う時期主な確認項目
契約時使用料、永代供養料、プレート作製、事務手数料
1人目・2人目それぞれの納骨時納骨作業、粉骨、追加彫刻、法要
毎年または一定期間ごと管理費、護持会費(寺院の維持運営の会費)、更新料
個別期間の終了時合祀への移行費用、延長費、プレートの扱い

管理費は、金額だけでなく支払期間も確認します。 たとえば年7,700円を20年間支払うという仮定なら、管理費だけで15万4,000円です。これは計算方法を示す例で、上記施設の契約総額ではありません。生前の期間を含むか、最後の納骨後も続くか、将来改定されることがあるかで必要額は変わります。

家族で入るときは人数と個別安置の期限を決める

夫婦で同じ区画を希望する場合は「2人用」とあるかに加え、2人目が入るまでの期間と、その後の扱いを確認します。先に納骨した方と後から納骨する方で、個別に安置される長さが違う場合があるためです。

期限の書き方読み取るべきこと
契約日から一定年数生前に待つ期間も個別安置の期間に含むか
最初の納骨から一定年数2人目の納骨までに期限が来た場合の扱い
最後の方の死亡・納骨から一定年数死亡日と納骨日のどちらが起算点か
個別安置の期限を設けない合祀へ移す条件が別に定められていないか

風の丘樹木葬墓地の公式案内では、最後の方が亡くなった後に13年または33年の期間を経て合祀へ移すと説明されています。一方、常照院の樹木葬には、合祀しない区画として紹介されるプランもあります。樹木葬はすべて同じ期限で合祀される、とはいえません。風の丘の案内、常照院の区画案内

「三十三回忌まで」と「33年間」は同じ書き方ではありません。回忌という年忌法要の数え方を使う契約か、経過年数を使う契約かを確かめ、家族の想定した納骨順で終了時期を説明してもらいましょう。

利用人数についても、骨壺の大きさで収容可能な数が変わるのか、粉骨すれば追加できるのか、登録していない人の追加が可能かを確認します。「家族用だから人数の制限はない」と判断せず、現在の希望人数と将来追加する可能性を分けて伝えると整理できます。

姓の違う親族、事実婚の相手、友人、ペットと一緒に入れるかも施設の規則によります。希望がある場合は見学の予約時に伝えておきましょう。詳しい論点は夫婦墓・個人墓とはとペットと入れるお墓にまとめています。

管理を任せられる範囲と家族が担うことを分ける

永代供養付きの樹木葬では、区画の手入れや供養を施設側に委ねられる場合があります。ただし、植栽の管理、個別の法要、納骨の手配は別の作業です。「管理不要」という案内を見たら、何が不要なのかを確かめます。

場面施設へ確認する担当範囲
植栽が枯れたとき植え替えの担当者、樹種変更、追加費用
プレートが汚れた・破損したとき清掃や修繕の範囲、費用負担
生前契約した人が亡くなったとき死亡の連絡先、納骨を依頼する人、必要書類
家族が転居したとき連絡先の変更方法、郵便が届かない場合の対応
個別の法要を希望するとき予約、利用できる場所、宗派、別途費用

承継者(お墓を継ぐ人)が不要でも、亡くなったことを知らせる人や納骨を手配する人まで不要になるとは限りません。生前に区画を契約する場合は、使用許可証や契約書の保管場所と連絡先を、実際に手配する人へ伝えておきます。

宗教不問という表示も、利用資格の説明なのか、施設内の儀式まで自由なのかを分けて読みます。寺院が行う合同法要の作法、ほかの宗派の宗教者を招けるか、個別の法要を依頼しなくても利用できるかなど、希望に関わる部分を尋ねましょう。

寺院との継続的な関係が必要な場合は、入檀(寺院の檀家になること)の条件や護持会費も確認します。宗派の違いを良し悪しで判断せず、本人と家族が希望するお参りを行えるかという基準で考えることが大切です。

見学で使える樹木葬の確認表

見学で通いやすさ・管理の様子・契約の内容を確認するイラスト
樹木葬の契約前に現地で確かめたいことを整理するイラスト。イラスト:お墓くらべ編集部(AI生成)

見学では、実際に申し込める区画と、家族がお参りする場所を両方見ます。展示用の区画や写真だけでは、通路の幅、足元、隣との距離、参拝時の姿勢までは分かりません。

下表を使い、候補ごとに回答をメモしてみてください。口頭説明と契約書の内容が違う場合は、その場で質問し、条件が書かれた資料を持ち帰ります。

確認項目記録する内容
利用する人人数、関係、後から追加できるか
地下の構造壺・袋・管・納骨室、粉骨の要否
個別安置期間、起算日、延長の可否
合祀と返還合祀の時期・場所、合祀前の返還条件
見積もり全員分の総額、含む費用、含まない費用
継続費用年額、支払開始・終了の時期、改定条件
お参り個別の目印、線香・花の可否、開園時間
移動駅・駐車場からの道、階段、休憩所、トイレ
生前契約連絡者、納骨の手配、変更・解約条件
管理の窓口経営主体、管理者、担当変更時の連絡先

通えるかは、自宅から区画までの往復で判断します。 駅から近くても、園内に坂や長い階段があるかもしれません。車での見学だけで決めず、将来運転をしなくなったときのバス・タクシーの利用も調べると、家族が続けやすい方法を考えられます。

足腰に不安がある家族と通う場合は、立ったまま参拝できるか、車椅子で区画の前まで近づけるかも確認します。通路が平らでも、個別のプレートを読むにはかがむ必要があるかもしれません。入口から区画、休憩所、トイレまでを実際に移動し、付き添う人と一緒に無理のない動線を確かめましょう。

花や木の景色を大切にしたい場合は、別の季節の写真も見せてもらいます。花期以外の姿や枯れたときの対応まで分かると、現実の管理を含めて希望に近いか判断できます。

契約内容の食い違いが解消しない場合は、すぐに署名する必要はありません。質問と回答を整理して持ち帰り、必要なら地域の消費生活センターに相談しましょう。国民生活センターでも墓の宗派や契約に関する相談事例が公表されています。国民生活センターの相談情報

希望を3つに絞って地域の樹木葬を比較する

最初からすべての条件を決める必要はありません。「夫婦2人で利用する」「一定期間は個別に安置する」「公共交通で通える」など、外せない希望を3つ書き、その条件で地域の候補を探すところから始めましょう。

  1. 利用人数と、お参りに通う人の住まいを整理する
  2. 個別安置の期間と合祀について、家族の希望を聞く
  3. 同じ人数・期間で見積もりを取り、候補を見学する

費用を先に決めたい人と、遺骨の扱いを先に知りたい人では、話し合いたい順序が違うことがあります。希望を紙に並べてから資料を見ると、「樹木葬にするか」という大きな話を、具体的な条件の比較に変えられます。

樹木葬のある霊園一覧から地域を選んで比較できます。個別安置や参拝方法の注意点をさらに確認したい場合は樹木葬のデメリットと確認点も参考にしてください。候補が決まったら、このページの確認表を使い、最新の条件を各霊園へご確認ください。

よくある質問

樹木葬では遺骨が土に還りますか?
土に接する方法も、骨壺や納骨室の中で保管する方法もあります。樹木葬という名称だけでは決まりません。納骨する容器の材質、土との間に仕切りがあるか、将来の合祀の有無を施設へ確認してください。一度合祀した遺骨は取り出せません。
樹木葬の費用は夫婦でいくらですか?
夫婦2人分の費用は、1人ごとの料金か2人用区画の料金かで変わります。全国一律の価格はなく、2人分の使用料に各人の納骨料・彫刻料と管理費を足して比べます。記事内に2026年9月確認の公式料金例を掲載していますが、特定施設の条件付き料金であり全国相場ではありません。
樹木葬はお墓を継ぐ人がいなくても利用できますか?
承継者を必要としない樹木葬があります。ただし、生前契約後に死亡を施設へ知らせる人や納骨を手配する人は別に必要となる場合があります。申込資格と連絡者の条件を各霊園へご確認ください。

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