終活・供養

お布施の書き方と封筒の選び方|金額の旧字体とお札の向きも解説

「お布施の封筒、表には何と書けばいいのだろう」。白い封筒を前にして、金額は旧字体で書くのか、お札はどちら向きに入れるのかと、手が止まる方は少なくないはずです。封筒の予備が少ないだけに書き損じたくない、お寺に失礼のないようにしたいという気持ちも重なります。香典の作法と同じでよいのか分からず、迷う方もいるでしょう。

そこで本記事では、封筒の選び方から表書き、金額の旧字体、中袋とお札の入れ方まで、書く順番に沿って整理します。金額ごとの書き方の例を見ながら、そのまま清書できるでしょう。

あわせて、奉書紙の包み方や渡し方、宗派による書き方の違いも同じ流れで解説します。

お布施の封筒の選び方と表書き

クリップボードの白い用紙にペンで記入する手元
書類と筆記具のイメージ。封筒の選び方や表書きは、地域や宗派の習わしによって異なることがあります。写真:Zulfugar Karimov / Unsplash(イメージ)

お布施は、白無地の一重の封筒か奉書紙を選び、表の上に「御布施」、下に施主の名前を濃い墨で書くのが一般的です。お布施は読経や法要への報酬ではなく仏道修行(布施行)に由来するとされ、香典とは作法が一部異なります。

白無地の一重の封筒か奉書紙を選ぶ

お布施をもっとも丁寧に包むなら、お札を半紙で包み、その上から奉書紙で包みます。市販の白無地の封筒でも問題ないとする葬儀社の解説が多く、「御布施」と印字された封筒を使ってもマナー違反にはあたりません。

包み方特徴
奉書紙もっとも丁寧な包み方
白無地の封筒手軽で広く使われる
印字済みの封筒表書きを書く手間が省ける

黒白の水引がついた香典袋は、お布施には使わないとする解説が多数です。地域によっては水引つきの袋を使うこともあり、後半の「水引を使うかは地域や宗派で異なる」で詳しく紹介します。白封筒を選ぶときは、次の点を確かめておきましょう。

  • 郵便番号の枠がない
  • 一重で、中が透けない厚さ
  • お札を折らずに入れられる大きさ

大きさは、お札を折らずに入れられる長形4号(9cm×20.5cm)が目安です。

表書きは「御布施」で下に施主の名前を書く

表書きは、封筒の表の上半分の中央に、縦書きで「御布施」か「お布施」と書きます。浄土宗の公式サイトは「お布施は読経・ご法事に対する報酬ではなく、『布施行』といわれる仏道修行に由来します」と説明しています。

下半分の中央に書くのは、施主のフルネームか「〇〇家」です。故人と施主の名字が違う場合や、同じ名字の家が多い地域では、フルネームにしておくとお寺が記録するときに分かりやすいでしょう。「〇〇家」とだけ書いたときは、裏に施主のフルネームを添えておくと親切です。

兄弟で出し合うなど連名にする場合、フルネームを並べるのは3名までが目安です。4名以上なら代表者のフルネームに「外一同」と添え、全員の名前を書いた紙を中に入れておきましょう。

筆ペンか毛筆を使い濃い墨で書く

お布施は、毛筆か筆ペンを使い、濃い黒の墨で書くとする葬儀社の解説が多く見られます。香典を薄墨で書くのは、悲しみの涙で墨が薄くなったことを表すためとされます。不幸に対して包むお金ではないお布施には、この考え方は当てはまらないという説明です。

一方、浄土宗の公式サイトは、お布施と香典の袋をまとめて説明し、薄墨で書く慣習もあると紹介しています。迷ったら菩提寺に確かめると安心です。

表書きでは、ボールペンやサインペンは避けたほうがよいでしょう。毛筆に慣れていなければ、文具店などで売られている黒の筆ペンで十分です。中袋の住所や氏名は、読みやすさを優先してボールペンでもよいとする葬儀社もあります。

お布施の金額の書き方と旧字体の漢数字

費用を、最初に払う費用・毎年の費用・追加の費用に分けて確認するイラスト
お布施の金額を確認するイラスト。包む金額は寺院や地域によって異なります。イラスト:お墓くらべ編集部(AI生成)

お布施の金額は「金参萬圓」のように、頭に「金」、末尾に「圓」をつけ、書き換えにくい漢数字で書くのが一般的です。壱・弐・参などは一般に旧字体と呼ばれることもありますが、正しくは大字(だいじ)といいます。銀行の手形や小切手でも、改ざんを防ぐ文字として使われてきました。

金額は「金参萬圓」のように大字で書く

お布施の金額に使うのは、「一・二・三」の代わりとなる「壱・弐・参」などの大字です。デジタル大辞泉は大字を、漢数字の代わりに用いる文字で「証書などで用いる」と説明しています。

三井住友銀行の小切手用法・手形用法(2022年改定)も、改ざんしにくい文字で金額を書くよう求めていました。頭には「金」、末尾には「円」を書くという決まりでした。お布施で大字を使うのも、後から書き足されにくい文字で金額をはっきり示すためです。

ふだんの字お布施で使う字
一壱
二弐
三参
五伍
十拾
千阡
万萬
円圓

表のうち「萬」「圓」は、大字ではなく「万」「円」の旧字体です。「萬」の代わりに「万」、「阡」の代わりに「仟」を使う例もあり、どちらで書いても誤りではありません。

5千円から30万円までの書き方の例

よく包まれる金額の書き方は次のとおりです。縦書きで、数字の間を詰めて書きましょう。

金額書き方の例
5千円金伍阡圓
1万円金壱萬圓
3万円金参萬圓
5万円金伍萬圓
10万円金壱拾萬圓
20万円金弐拾萬圓
30万円金参拾萬圓

10万円は「金拾萬圓」と、「壱」を省いて書く例もあります。一方、住所の番地などは大字ではなく、ふだんの漢数字で書くのが一般的です。

「也」や横書きの欄の扱いは考え方が分かれる

金額の最後に「也」をつけるかどうかは、解説によって考え方が分かれます。つけるのが正式とする解説がある一方、なくても失礼にはあたらないとする解説もあります。迷ったら、つけておけば無難でしょう。

中袋に横書きの金額欄が印刷されている場合、算用数字で書いてよいとする解説と、算用数字は避けるとする解説があります。縦書きの欄なら大字で書きましょう。

そもそも金額を書くかどうかにも決まりはありません。ただ、書いておくとお寺がその場で確かめて記録しやすくなるため、書くのが親切だとする解説が多く見られます。

中袋の書き方とお札の入れ方

中袋がある封筒は、中袋の表に金額、裏に住所と氏名を書き、中袋がなければ封筒の裏の左下にまとめて書きます。お札は、封筒の表から見て肖像画が表で上になる向きに入れ、新札を使うとする解説が多数です。

中袋があれば表に金額、裏に住所と氏名

中袋のある封筒では、中袋の表の中央に金額を大字の縦書きで書き、裏の左下に郵便番号・住所・氏名を書きます。電話番号まで書いておくと丁寧だとする葬儀社も見られるほどです。

  • 中袋の表は金額(金参萬圓など)
  • 中袋の裏は郵便番号・住所・氏名
  • 外袋の表は「御布施」と施主の名前
  • 外袋の裏は基本的に何も書かない

ただし外袋の表を「〇〇家」とした場合は、裏に施主のフルネームを書き添えると丁寧です。

奉書紙で包む場合は、中に入れる半紙(中包み)の表に金額、裏に住所と氏名を書きます。墨が裏に染みるのが心配なら、お札をいったん出してから書くとよいでしょう。

中袋がなければ封筒の裏の左下に書く

中袋のない白封筒1枚で包む場合は、封筒の裏の左下に郵便番号・住所・氏名を書きます。金額は、住所と氏名に続けて左下に書く方法と、裏の右上に書く方法の2通りがあり、どちらでも構いません。

表に「〇〇家」とだけ書いたときは、裏に施主のフルネームを書いておくと、お寺が誰からのお布施か確かめやすくなります。数字は、金額は大字、番地はふだんの漢数字と使い分けましょう。

お札は肖像画が表で上になる向きに入れる

お札は、封筒の表側から見て、肖像画が表になり、封筒の口の側に来る向きで入れます。何枚か入れるときは、すべて向きをそろえましょう。香典ではお札を裏向きに入れる作法が紹介されることが多く、お布施とは向きが反対になります。

お布施はあらかじめ準備して渡すものなので、新札を使うとする解説が多く見られます。香典で新札を避けるのは「不幸を予期していた」と受け取られないためとされ、お布施には当てはまりません。新札が手に入らなければ、折り目や汚れの少ないきれいなお札を選べば十分です。

なお、浄土宗の公式サイトは、お布施も香典と同じく、新札以外を使い肖像のない面を表にすると説明しています。菩提寺の考え方が気になるときは、事前に聞いておくと安心です。

奉書紙の包み方とお布施の渡し方

奉書紙で包むときは、お札を包んだ半紙を奉書紙の中央より少し左に置き、左・右・下・上の順に折ります。お車代と御膳料は別の封筒に包み、お布施を一番上に重ねて、切手盆か袱紗に載せて渡しましょう。

奉書紙は左・右・下・上の順に折る

奉書紙で包む場合は、まずお札を半紙で包んだ「中包み」を作り、その外側を奉書紙で包みます。斎場運営会社の東京博善などが紹介している一般的な手順は次のとおりです。

  1. 半紙でお札を包み、中包みを作る
  2. 奉書紙のざらざらした面を上に縦に置く
  3. 中央より少し左に中包みを置く
  4. 左、右の順に折り重ねる
  5. 下、上の順に折り、上側を外にかぶせる

最後に上側を外にかぶせる包み方を紹介する解説が多い一方、お祝いと同じく下側を外にする考え方もあります。地域の習わしが分からなければ、葬儀社やお寺に確かめると安心です。

お車代と御膳料は別の封筒に包む

お車代と御膳料は、お布施と同じ封筒に入れず、それぞれ別の白封筒に包むのが一般的です。表書きは「御車代」「御膳料」とし、下に施主の名前を書きます。

お車代は、僧侶が自分で移動して来てくれたときの交通費です。遺族が送迎した場合や、お寺で法要を営む場合は用意しなくてよいとされます。御膳料は、法要のあとの会食に僧侶が参加しないときや、会食を設けないときにお渡しする食事代です。

金額はいずれも5千〜1万円とする解説が多く、2026年10月時点の公開情報にもとづく一般的な目安です。渡すときは、お布施を一番上にし、その下にお車代や御膳料を重ねてまとめて差し出します。

戒名料や塔婆料を別にお渡しする場合も、お布施とは分けて包むのが一般的です。ただし地域や寺院によってはまとめて包むこともあるため、迷ったらお寺に確かめましょう。

切手盆か袱紗に載せて僧侶に向けて渡す

お布施は、手で直接渡さず、切手盆と呼ばれる小さなお盆に載せて差し出すのが正式です。切手盆がなければ、袱紗(ふくさ)の上に載せて渡します。

載せるときは自分から表書きが読める向きに置き、盆を回して、僧侶から読める向きにして差し出しましょう。袱紗は左開きで、紫は慶事と弔事のどちらにも使えます。

渡すタイミングは、法要の前に挨拶するときか、終わってお礼を伝えるときです。前に渡すなら「本日はどうぞよろしくお願いいたします」、後なら「本日はありがとうございました」と一言添えると気持ちが伝わります。葬儀社や寺院の案内係から指示があれば、それに従いましょう。

宗派・宗教による表書きの違い

お布施の表書きは、浄土真宗を含め、仏教では「御布施」が基本です。神道やキリスト教では「お布施」という仏教の言葉を使わず、神道は「御祭祀料」、キリスト教は「献金」や「御礼」などと書きます。

宗教・宗派表書きの例渡すとき
仏教の各宗派御布施法要の前か後
浄土真宗御布施法要の前か後
神道御祭祀料・御礼儀式の後
キリスト教献金・御礼葬儀の前か後

仏教では、葬儀・四十九日・一周忌・納骨式と場面が変わっても、表書きは「御布施」のままで構いません。場面によって変わるのは金額と、お車代や御膳料を用意するかどうかです。四十九日や一周忌の法要に、納骨や開眼供養(新しいお墓に魂を迎える法要)を合わせることもあります。その場合、お布施に1万〜5万円ほどを上乗せするのが目安だというのが、斎場運営会社の東京博善の説明です。2026年10月時点の公開情報にもとづく一般的な目安で、寺院や地域によって異なります。

浄土真宗も「御布施」で本願寺派は御礼を使わない

浄土真宗でも、表書きは「御布施」で問題ありません。浄土真宗本願寺派の公式サイトは、御布施を「お寺の御本尊・阿弥陀さまにお供えするためのもの」と説明しています。

同じく本願寺派は、「御礼」「御経料」「回向料」といった表書きは、趣旨からいってふさわしくないという立場です。ただし本願寺派も、御布施の包みに厳密な決まりはなく、地域によって異なる場合があるとしています。浄土真宗の家でお布施を包むときは、「御布施」と書いておけば迷いません。

本願寺派は、お墓が完成したときなどおめでたい法要では赤白の水引を使うとしています。お墓に関わる法要でお布施を包む場合は、お寺に水引の色も確かめておくと安心です。

神道は御祭祀料、キリスト教は献金や御礼

神道で神職にお礼を渡すときは、表書きを「御祭祀料」「御祈祷料」「御礼」などとします。白無地の封筒を使い、蓮の花が描かれた仏式用の袋は避けましょう。仏式では法要の前に渡すことが多いのに対し、神道では儀式がすべて終わった後に渡すのが一般的とされます。

キリスト教では、教会へのお礼を「献金」「感謝献金」などとし、神父や牧師個人へのお礼は「御礼」と分けて包むことが多いようです。「御ミサ料」はカトリックだけの言い方で、プロテスタントでは使いません。

どちらも宗教や教会ごとに習わしが異なるため、葬儀社や神社、教会に確かめておくと安心です。

水引を使うかは地域や宗派で異なる

お布施の封筒に水引をつけるかどうかは、地域や宗派によってさまざまです。葬儀社の解説では、お布施は不幸に対して包むお金ではないため、水引はいらないとする説明が多く見られます。

一方で、関西では黄白の水引がついた袋を使う習慣があり、浄土真宗本願寺派も葬儀や年忌法要では黒白か黄白の水引を勧めています。白無地で水引のない封筒を選べば大きく外れることはありませんが、地域の習わしが気になるときはお寺に聞いてみましょう。

お布施の金額の目安や「お気持ちで」と言われたときの考え方は、お布施の相場とマナーで紹介しています。

まとめ

お布施は、白無地の一重の封筒か奉書紙に、濃い墨で「御布施」と施主の名前を書くのが一般的です。金額は「金参萬圓」のように大字で書き、中袋があれば表に金額、裏に住所と氏名を記入しましょう。お札は肖像画が表で上になる向きにそろえ、お車代や御膳料は別の封筒に包みます。

まずは手元の封筒の種類を確かめ、金額の書き方の表を見ながら下書きしてみてください。地域や宗派の習わしが分からないときは、お寺や葬儀社に尋ねて構いません。納骨先のお墓を探すときは、お墓くらべで一般墓や永代供養墓を地域ごとに比べられます。

よくある質問

お布施の封筒はのり付けしますか
のり付けしないのが一般的です。お寺がその場で金額を確かめ、記録しやすいように開けておくと説明する解説が多く見られます。移動中に中身が出ないか心配なときは、閉じても失礼にはあたらないとされています。金額が多いときは閉じたほうがよいとする考え方もあり、決まりは一つではありません。
4や9のつく金額は避けたほうがよいですか
避ける人が多いものの、厳密な決まりではありません。「死」や「苦」を連想させる4や9のつく金額、お札の枚数が4枚や9枚になる包み方は、避けるのが一般的とされます。地域に別の習わしがあれば、それに従いましょう。
お布施の領収書はもらえますか
お布施は領収書を出さないのが一般的ですが、頼めば応じる寺院もあります。相続税の申告で葬儀のお布施を葬式費用として差し引く場合に備え、支払った日や寺院名、金額をメモしておくとよいでしょう。税理士の解説でも、こうしたメモを根拠の資料にできるとされています。国税庁は、初七日など法事のための費用は葬式費用に含まれないとしています(2026年4月1日現在の法令等)。葬儀と同じ日に行う初七日の扱いなど、個別の判断は税務署や税理士に確かめてください。

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