終活・供養

供養とは何をすること?意味と目的、種類と宗派による違いを解説

「きちんと供養してあげて、と言われるけれど、供養とは何をすることなのだろう」。法要やお墓参り、仏壇へのお参りなど、思い当たることはあっても、何のために・どこまですればよいのか分からず、戸惑う方は少なくないはずです。自分の家の宗派ではどう考えるのかも、気になるところでしょう。

そこで本記事では、供養の読み方と意味から、目的や追善供養・先祖供養との関係、日々のお参りや法要などの種類まで、言葉の地図として整理します。家族に説明できる程度に、供養の全体像がつかめるはずです。

あわせて、お墓がなくてもできる供養の形や、宗派・宗教による受け止め方の違い、人形などの物の供養も同じ流れで確かめられます。

供養の読み方と意味

緑の葉を背景に咲く白い百合の花
供えられた花のイメージ。供養の形や考え方は、宗派や家の習わしによって異なります。写真:Serafima Lazarenko / Unsplash(イメージ)

供養(くよう)は、サンスクリット語で「敬うこと」を意味する言葉の訳で、もとは仏・法・僧の三宝に物を捧げることでした。日本では、亡くなった人や先祖を偲び、手を合わせる営み全般を指す言葉として広がりました。

供養は「くよう」と読み、もとは「敬うこと」

供養は「くよう」と読み、「きょうよう」と読むこともあります。デジタル大辞泉や日本国語大辞典は、サンスクリット語のプージャナー(pūjanā)の訳としています。日本大百科全書(ニッポニカ)が挙げる原語は、プージャー(pūjā)です。

世界大百科事典によると、これらの語はもともと「尊敬」を意味します。相手への尊敬の気持ちから香や花を捧げるのが供養で、見返りを求めて生き物を犠牲として捧げる「供犠(くぎ)」とは意味が違うという説明です。

つまり供養の根っこにあるのは、相手を大切に思い、敬う気持ちです。読み方に迷ったら「くよう」と覚えておけば十分でしょう。

三宝への供え物から先祖を偲ぶ営みへ広がった

供養は本来、仏・法・僧の三宝(さんぼう)に飲食や衣服などを捧げることを指していました。天台宗も、もともとは敬意をもっておもてなしをするという意味で、三宝に物を捧げて僧の集まりを支えることだったと説明しています。

やがて、仏前に香や花、灯明、お供え物を供えることも供養と呼ぶようになりました。ニッポニカによると、供養のための法会(ほうえ)も指すようになり、開眼供養や施餓鬼(せがき)などへと言葉の意味が広がりました。

天台宗は、日本では先祖を供養の対象にするのが一般的になったとしています。今では、法要やお墓参り、仏壇へのお参りなど、故人や先祖を偲ぶ営みの多くを「供養」と呼ぶのが一般的です。

物を供える・敬う・教えに沿って生きるの3つの面

供養には、物を供える、敬う心を表す、教えに沿って生きる、という3つの面があります。仏典の『十地経論』(『十地経』の注釈書)に見られるのが、利供養・敬供養・行供養という3つの分け方です。

呼び名中身の例
利供養衣服や寝具などを捧げる
敬供養香や花、旗などを捧げる
行供養仏の教えを受けとめて修行する

表は浄土宗の新纂浄土宗大辞典が紹介する『十地経論』の分け方で、敬供養は恭敬供養とも呼ばれます。一方、世界大百科事典は、香や花、飲食を捧げることを利供養としています。天台宗は利供養と法供養の2つで説明するなど、分け方は資料によって違うのが実情です。

分類の名前を覚えるより、物を供えることと敬う心、日々の生き方がそろって供養になると受け止めると分かりやすいでしょう。

供養の目的と追善供養・先祖供養の関係

供養の目的は、故人や先祖を偲び敬うこと、遺された人が気持ちを整えること、家族のつながりを確かめることの3つに整理できます。追善供養は故人のために善い行いを積むこと、先祖供養は家の先祖をまとめて偲ぶことで、どちらも供養の一つの形です。

故人を偲び、遺族の心を整え、つながりを確かめる

供養の目的は、宗派によって説明の重心が違うものの、大きく次の3つに整理できます。

目的説明している例
故人や先祖を偲び敬う天台宗・浄土宗など
遺された人の心を整える天台宗・浄土真宗本願寺派
家族のつながりを確かめる曹洞宗・全日本仏教会

曹洞宗は「供養とは、忘れないこと。」とし、大切な人とのつながりを保ち続ける行いだと説明しています。天台宗も、仏壇の前で手を合わせると心が落ち着くとし、法事は親族が一堂に会する大事な機会だという考え方です。

関西学院大学の坂口幸弘教授は、故人との関係を保ち続けることを、死別後の健全な心の働きの一面とみる研究を紹介しています。供養は故人のためだけでなく、遺された人のためのものでもあるといえるでしょう。

追善供養は故人のために善い行いを積むこと

追善供養(ついぜんくよう)は、亡くなった人のために、生きている人が善い行いを積むことです。天台宗は、先に亡くなった親や兄弟、先祖の御霊のために、生きている者が追って善行を積むことと説明しています。

仏壇やお墓へのお参り、年忌の法事が、追善供養にあたるという説明です。曹洞宗は、仏さまに飲食や花を供え、読経をして善い行いの功徳を積み、それを故人や先祖に振り向けることを回向(えこう)と呼んでいます。

浄土宗では、お念仏をとなえることが最高の功徳で、それが追善供養になるという立場です。ただし浄土真宗のように、追善供養の考え方をとらない宗派もあり、その違いは後の章で紹介します。

先祖供養は家の先祖をまとめて偲ぶ営み

先祖供養は、特定の故人だけでなく、家の先祖をまとめて偲び敬う営みです。天台宗は、日本では追善供養が中心になったことで、先祖を供養の対象にするのが一般的になったと説明しています。

全日本仏教会は、先祖供養を「いのちのバトンタッチ」と表しています。亡くなった人を切り捨てるのではなく、亡き人と向き合いながら自らの生き方を問い直す営みだという説明です。

お盆やお彼岸に家族でお墓参りをし、先祖に手を合わせるのも、身近な先祖供養の一つです。

日々のお参りや法要など供養の種類

供養には、仏壇へのお参りやお供えといった日々のものと、四十九日や年忌法要などの節目のものがあります。お盆やお彼岸のお墓参りなど季節のものや、お墓や仏壇を建てる・しまうときのものもあり、詳しい流れは関連する記事で確かめられます。

仏壇へのお参りとお供えは5つが基本

日々の供養の基本は、仏壇に手を合わせ、お供えをすることです。供養の主な種類は、次のように整理できます。

種類主な例時期
日々の供養仏壇へのお参り・お供え毎日
節目の法要四十九日・一周忌・三回忌亡くなった日から数えて
季節の行事お盆・お彼岸のお墓参り年に数回
建てる・しまう開眼供養・閉眼供養お墓や仏壇の節目

曹洞宗によると、お供え物は香り・花・灯明・お水・飲食の5つが基本です。線香は煙ではなくよい香りを供えるもので、供えた物は無駄にせず皆で分け合っていただくよう勧めています。

浄土真宗本願寺派では、灯・香・華の三具足とお仏飯を基本とするなど、宗派によってお供えの形もさまざまです。

四十九日や年忌の法要で節目ごとに偲ぶ

亡くなってから四十九日までは7日ごとに、その後は一周忌や三回忌などの年忌に法要を営みます。天台宗によると、7日ごとの法要に中国で百箇日・一周忌・三回忌が加わり、日本では鎌倉時代ごろに三十三回忌を弔い上げとする型が整いました。

全日本仏教会と大和証券が2024年12月に全国の20〜79歳を対象にインターネットで行った調査(補正後6,192サンプル)では、家族の法要として一周忌を「執り行うべき」と答えた人は42.7%、「法要は必要ない」は25.1%でした。どこまで営むかは家庭によって大きく違います。

年忌法要の数え方や早見表は、年忌法要の流れとお墓で紹介しています。

お盆やお彼岸のお墓参りも供養の一つ

お盆やお彼岸、命日にお墓を訪ねて手を合わせることも、身近な供養の一つです。浄土宗は、お盆を極楽浄土にいる先祖をお迎えして供養する期間と説明しています。

天台宗は、どんなに立派なお墓でも荒れていては供養にならないとし、縁のある人が気持ちよくお参りできることが良いお墓だと述べています。お墓参りの準備はお盆のお墓参りやお彼岸のお墓参りで確かめてみてください。

お墓や仏壇を建てるとき・しまうときの法要

お墓や仏壇を新しく迎えるときには開眼供養(かいげんくよう)を、しまうときには閉眼供養を営むのが一般的です。ニッポニカは開眼供養を、俗に魂入れと呼ばれ、仏像に眼を入れて新しく迎える法要と説明しています。

浄土真宗本願寺派では呼び方が違うので注意が必要です。仏壇にご本尊を迎えるときは「入仏法要」、お墓が完成したときは「建碑式」と呼び、「お性根入れ」とは言わないとしています。詳しくは開眼供養と閉眼供養で紹介しました。

お墓がなくてもできる供養の形

一般墓・樹木葬・納骨堂の形を並べて比べるイラスト
供養の形を比べるイラスト。どの形を選ぶかは、家族の事情や宗派の考え方によって異なります。イラスト:お墓くらべ編集部(AI生成)

お墓が遠い、継ぐ人がいない、お墓を持たないといった場合でも、供養はできます。曹洞宗は「供養とは、忘れないこと」と説明しています。臨済宗の法話でも、大切なのはお墓やお仏壇だけでなく拝む人の心だという考え方です。永代供養墓や樹木葬、手元供養など、選べる形も増えてきました。

永代供養墓や樹木葬、納骨堂という選択肢

継ぐ人がいなくても、霊園やお寺が管理と供養を続ける永代供養墓のほか、樹木葬や納骨堂という選択肢もあります。永代供養墓では、一人ずつ納めておける期間を過ぎると合祀に移る例が多くあります。

鎌倉新書が2026年1月に、同社のお墓の情報サイト経由で2025年にお墓を決めた1,267人へインターネットで聞いた調査では、樹木葬が47.4%、合祀墓・合葬墓が16.4%、納骨堂が15.5%でした。サイトの利用者が対象で、全国の平均ではない点に注意が必要です。

一方、全日本仏教会と大和証券の2024年12月の調査では、ほかの人の遺骨と一緒に納める合祀に「抵抗感がある」人が57.1%でした。一度合祀した遺骨は取り出せないため、家族で納得してから選びましょう。

永代供養の仕組みは永代供養とはで、形ごとの特徴は永代供養墓や樹木葬の一覧で比べられます。

手元供養や近くのお寺へのお参りもできる

遺骨の一部を自宅に置いて偲ぶ手元供養も、供養の形の一つです。ニッポニカは、墓への納骨に代わる選択肢として手元供養だけを選ぶ人も増えているとしています。

天台宗の法話では、遠くて年に一度しかお参りできなくても、それが先祖への何よりの追善供養になると語られています。出身地が遠くても、近くのお寺で善い行いを積むことはできるという考え方です。

詳しくは手元供養とはで紹介しています。葬儀をしなかった場合の供養は、直葬のあとの供養が参考になるでしょう。

形を変えるときは家族とお寺に相談する

墓じまいや納骨先の変更など、供養の形を変えるときは、家族や親族とよく話し合うことが欠かせません。全日本仏教会は改葬について、日ごろからの菩提寺との話し合いや、家族・親戚と理解し合える関係がいちばん大切だとしています。

浄土真宗本願寺派は、納骨の形を最終的に決めるのは亡き人本人ではなく偲ぶ側の人だとし、自らの信仰と死生観を尊重して選ぶよう勧めています。厚生労働省の衛生行政報告例をもとにした総務省の資料によると、改葬(お墓の引っ越し)は2024年度に約17万6千件で、2014年度の約8万4千件から倍増しました。

形を変えることに後ろめたさを感じる人もいますが、故人を偲ぶ気持ちを持ち続けることが供養の中心です。迷ったら、まず菩提寺や家族に気持ちを打ち明けてみましょう。

宗派や宗教による供養の受け止め方

浄土真宗は追善供養の考え方をとらず、法事を仏さまの教えにふれる場と受け止めます。神社本庁は、仏教の供養にあたる営みを霊前祭や年祭などの言葉で説明しており、キリスト教では追悼のミサや記念会で故人を偲ぶのが一般的です。

浄土真宗は追善供養の考え方をとらない

浄土真宗では、亡き人は阿弥陀仏の救いによってすでに浄土に生まれ、仏さまになっていると受け止めます。浄土真宗本願寺派の説明では、そのためこちらから善を振り向ける必要はなく、法事は参拝者一人ひとりが仏法を聞く行事です。

宗教・宗派故人を偲ぶ主な営み
浄土真宗法事・お寺へのお参り
神道霊前祭・五十日祭・年祭
カトリック死者のためのミサ
プロテスタント記念会など

真宗大谷派も、法事は亡き人をご縁に仏さまの教えにふれる大切な場だとしています。中陰の法要も、本願寺派の説明では、遺族自身が悲しみから立ち直っていくための機縁になる法要です。

本願寺派は、表書きに「御霊前」や「供養料」などは使わないと案内しています。浄土真宗の家では「御仏前」と書くと安心です。

神道は霊前祭や年祭で御霊をまつる

神道では、亡くなった人は子孫を見守る存在、祖霊になると考えられてきました。神社本庁は、亡くなった人の御霊(みたま)をお鎮めし、長く家の守り神としておまつりすると説明しています。

葬場祭の翌日からは霊前祭を行い、亡くなってから50日目に五十日祭、その後は年祭を重ねるのが流れです。年祭の節目は満1年・3年・5年・10年、以後10年ごとなどで、地域や神社によって違いがあります。

家庭では、御霊舎(みたまや)に霊璽(れいじ)を納めてまつります。年祭に参列するときの表書きは「玉串料」です。

キリスト教は追悼のミサや記念会で偲ぶ

カトリックでは、11月2日を「死者の日」とし、亡くなったすべてのキリスト者を記念します。カトリック中央協議会は、2世紀ごろから死者のための祈りを唱える習慣が生まれ、次第にミサが伴うようになったと説明しています。

プロテスタントの教会で、故人を偲ぶ集まりに使われるのが「記念会」などの言葉です。仏式の葬儀を終えた後で、教会で記念会を開いた家族の例も、日本基督教団の機関紙で紹介されています。

宗教が違う家族でも、それぞれの形で故人を偲ぶことはできます。迷ったら、教会や神社、お寺に確かめましょう。

人形や針など物の供養とお寺へのお礼

人形やぬいぐるみ、針など、人以外のものを供養する習わしもあります。寺社の供養祭や郵送の受け付けを利用する方法があり、お寺へのお礼の表書きは「御布施」とするのが基本です。

人形やぬいぐるみは供養祭に納める例がある

役目を終えた人形やぬいぐるみを、感謝を込めて手放す人形供養があります。世界大百科事典によると、供養の対象は針供養や人形供養など生き物ではないものにまで及んでおり、あらゆるものに命を認める仏教思想からの展開です。

業界団体の日本人形協会のように、人形を郵送で一年中受け付け、東京大神宮で祈祷してお見送りする人形感謝祭に納める例もあります。受け付けは有料で、顔のついた人形やぬいぐるみが基本的な対象です。

受け付けの方法や費用は寺社や団体によって違います。手放したい人形があれば、事前に確かめましょう。

針供養など道具に感謝する行事もある

針供養は、折れた針やさびた針を供養する行事です。浅草寺によると、淡島神社や淡島神をまつる堂を中心に全国で催され、やわらかい豆腐やこんにゃくに針を刺して感謝し、針仕事の上達を祈ります。

時期は2月8日か12月8日で、関東では両日、関西や九州では12月8日が多いようです。食肉や魚市場、養鶏の関係者が、動物の霊を慰める供養を年中行事として営む例もあると世界大百科事典は紹介しています。

物の供養は、使ってきたものへの感謝を形にする営みです。手放し方に迷う品があれば、近くの寺社に相談してみてください。

お寺へのお礼の表書きは「御布施」が基本

法要などでお寺に渡すお礼の表書きは、多くの宗派で「御布施」が基本です。曹洞宗や真宗大谷派は「御布施」のほか「御法礼」も挙げています。天台宗も、地域によって習わしが変わるので、迷ったら菩提寺の住職に尋ねてほしいという立場です。

浄土真宗本願寺派は、「回向料」「読経料」「供養料」といった言葉は趣旨にふさわしくないとしています。迷ったら「御布施」と書くか、菩提寺に確かめると安心です。

全日本仏教会は2015年の理事長談話で、お布施はサービスの対価ではないという立場を示しています。書き方や包み方は、お布施の書き方と封筒の選び方で紹介しました。

まとめ

供養(くよう)は、もとは「敬うこと」を意味する言葉で、今は故人や先祖を偲び、手を合わせる営み全般のことです。目的は故人を偲ぶこと、遺された人の心を整えること、家族のつながりを確かめることで、形は日々のお参りから法要、お墓のない場合の選択肢まで幅広くあります。宗派によって受け止め方が違う点も押さえておきましょう。

まずは自分の家の宗派と菩提寺を確かめ、次の法要やお墓参りの予定を家族と話してみてください。お墓の形を見直すときは、お墓くらべで永代供養墓や樹木葬を地域ごとに比べられます。

よくある質問

「ご供養」と「御供養」はどう使い分けますか
どちらも同じ言葉で、ひらがなで書くか漢字で書くかの違いです。改まった文書では、「御供養」と漢字で書くことが多くあります。日本国語大辞典には、僧の側から見て、施される飲食物や衣服などの布施を指す意味も載っています。お寺へのお礼の表書きは「御布施」が基本です。
供養をしないとバチが当たりますか
日蓮宗の法話は、先祖を祀っていないから悪いことが起きるというものではないと説いています。浄土真宗本願寺派の資料も、法事をしなければ災いがあるのではという不安が、かえって自分を縛るという考え方です。不安を感じたら、家族やお寺に気持ちを話してみましょう。
供養塔とは何ですか
供養のために建てる塔のことで、デジタル大辞泉は石塔婆や層塔などを挙げています。浅草寺の針供養でも、魂針供養之塔の前で法要が営まれるのが習わしです。

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