墓じまい・改葬

墓じまいとは?流れ・費用の内訳・必要な手続きをわかりやすく解説

墓じまいとは、今あるお墓の墓石などを撤去し、使用していた区画を霊園や寺院へ返すことです。遺骨が納められている場合は、その行き先を確保し、必要な手続きを整えて移します。撤去工事だけを先に頼まず、「今のお墓をどう返すか」と「遺骨をどこへ移すか」を一緒に考えることが大切です。

「遠くてお参りが難しい」「今後の管理を引き継ぐ人がいない」など、検討する事情は家族ごとに異なります。すぐに結論を出す必要はありません。現在の名義人、納骨されている人、管理者の連絡先を調べ、家族と共有するところから始められます。

この記事は、2026年9月に確認した自治体の案内等をもとに、一般的な進め方を編集部が整理したものです。個別の権利関係や契約の判断には踏み込まず、窓口へ確認するための概要を扱います。必要書類・工事条件・費用は、各自治体や墓地管理者へご確認ください。

墓じまいと改葬は何が違う?

墓じまいはお墓を片付けて区画を返す行為を指す通称です。一方、改葬(かいそう)は、すでにお墓や納骨堂に納められた遺骨などを、別のお墓や納骨堂へ移すことを指します。墓地、埋葬等に関する法律に定められた手続きで、市区町村の許可が関わります。

言葉主に行うこと確認する相手
墓じまい・区画の返還墓石等を撤去し、区画を指定の状態へ戻す現在の墓地管理者、石材店
改葬納骨済みの遺骨を別のお墓・納骨堂へ移す現在の所在地の自治体、新旧の管理者
分骨遺骨の一部を別に分けて納める現在の管理者、受入先、必要に応じ自治体

遺骨が入っていない区画を返す場合と、納骨済みの区画を返す場合では、準備することが違います。また、遺骨を移しても区画の返還が自動で終わるとは限りません。管理者に返還の申請方法と、撤去後の確認方法を聞いておきましょう。

札幌市の市営霊園・墓地の手続きでも、改葬と返還は別に案内されています。同じ市内でも墓地の種類によって窓口や書類が変わることがあるため、自治体名だけでなく霊園名まで伝えると確認しやすくなります。

自宅で保管している遺骨、分骨、散骨などを予定している場合は、この一般的な改葬の流れをそのまま当てはめず、現在の状態と希望する行き先を窓口に伝えてください。詳しい制度説明は改葬許可申請の流れに分けています。

墓じまいの流れ(6ステップ)

本人の希望・家族の考え・必要な準備を整理するイラスト
墓じまいを進める前の相談と準備を考えるイラスト。イラスト:お墓くらべ編集部(AI生成)

次の6段階を目安に進めます。書類の確認、移転先探し、見積もりは並行して進められますが、工事日を確定する前に、遺骨の受け入れと手続きの見通しをそろえます。

段階この時点で決める・確認すること
1. 家族・親族と相談検討する理由、遺骨の行き先への希望、費用の分担
2. 今のお墓の管理者に相談名義、納骨の記録、返還条件、指定石材店の有無
3. 新しい納骨先と工事の候補を確認受入条件、人数、見積もり、日程の調整方法
4. 改葬の手続きを整える申請先、必要書類、許可証の受け取り方
5. 遺骨を取り出して移す立ち会う人、搬送する人、納骨までの保管先
6. 撤去・返還と新しい納骨を確認工事完了、区画の返還、許可証の提出と納骨

1. 家族・親族と相談する

まず、現在お墓を使う名義になっている人と、ふだんお参りをしている親族へ相談します。「いつ撤去する」と決定事項として伝えるより、管理や交通のどこが負担になっているか、今後どうしたいかを共有すると、話し合う内容を整理できます。

移す先を選ぶ前に、個別のお墓を残したい人がいるか、家族で同じ場所に入りたいか、今後のお参りをどこで行いたいかを聞きます。意見が異なる場合は、費用の問題と納め方への希望を分けて書き出してください。

合祀(ごうし:ほかの方の遺骨と一緒に埋葬すること)を選ぶ場合は、一度合祀した遺骨は取り出せません。この点を含めて話し合い、まだ決められない間は、契約や取り出しを急がず候補の見学を進める方法もあります。

2. 今のお墓の管理者に早めに相談する

霊園や寺院の管理者には、墓じまいを検討している段階で連絡します。墓地使用許可証などの書類があれば手元に置き、区画番号、名義人、遺骨の数が確認できるかを聞きましょう。名義人が亡くなっている、書類をなくしたなどの事情も、この時点で伝えます。

返還時に撤去する範囲は、墓石だけとは限りません。外柵、納骨室、基礎、植栽などをどの状態まで戻すか確認し、石材店へ同じ条件で見積もりを依頼します。指定された業者への依頼が必要か、工事の申請や立ち会いがあるかも確かめます。

寺院墓地の場合は、墓地の返還と、お寺との今後の関係を分けて相談します。法要を依頼するか、会費の精算があるかなど、費用の名目を一つずつ確認してください。

3. 新しい納骨先と工事の見積もりを確認する

移転先には、すでに別の墓地に納骨されている遺骨を受け入れるか、何人分を納められるかを確認します。骨壺の数と大きさ、遺骨の状態が分かれば伝え、受け入れ前に必要な作業があるかを聞きましょう。分からないことは推測で答えず、現在の管理者や石材店に確認します。

公営霊園には、募集時期や居住年数などの条件があり、区画によって改葬の遺骨を受け入れるかが異なります。2026年度の都立霊園募集資料でも、申込区分ごとに条件が示されています。所在地が近いことだけで申し込めるとは限りません。

契約を進める前に、受け入れられる遺骨と、納骨できる時期を確認します。石材店にも同じ時期を伝え、遺骨の取り出しと撤去を別日にする必要があるか、日程変更時に費用が発生するかを聞きます。

4. 改葬の手続きを整える

改葬の申請先は、原則として現在遺骨がある墓地・納骨堂の所在地の市区町村です。住民票がある自治体や、これから移す先の自治体と混同しないようにしましょう。自治体の公式ページで申請書を探し、今のお墓の管理者が証明する欄や添付資料を確認します。

許可証をどの方法で受け取るか、郵送の場合に何を同封するかも問い合わせます。書類に記入しにくい項目がある場合は、空欄で出せるかを自己判断せず、申請窓口に相談してください。必要書類がそろってから交付までの見通しを確認し、工事日と調整します。

5. 遺骨の取り出しと移動を手配する

誰が納骨室を開け、誰が遺骨を受け取り、どの方法で移転先へ運ぶかを決めます。現地に行く親族と、石材店、現在の管理者、新しい納骨先で予定を共有します。遠方の場合は、取り出し後すぐに納骨できないときの一時的な保管先も先に確認しておきます。

法要などを行う場合は、寺院へ必要な準備と時刻を相談します。閉眼供養(へいげんくよう)などの呼び方や作法は宗派で異なり、すべての家族に同じ儀式が必要というわけではありません。浄土真宗を含め、個別の宗派の案内に沿って確認してください。

遺骨を複数の場所へ分けて納める場合は、必要な証明書も変わります。分骨の基本を確認したうえで、新旧の管理者へ希望を伝えます。

6. 区画の返還と新しい納骨の完了を確認する

墓石などを撤去したら、管理者の求める状態に戻っているか確認します。返還届や完了報告が必要な場合は提出し、管理費の請求がいつまで続くかも整理します。工事が終わった写真と、返還したことが分かる記録を保管しておくと、親族にも報告できます。

新しい墓地・納骨堂へは、案内された必要書類と改葬許可証を提出して納骨します。遺骨の数、納めた場所、今後の連絡先を確認し、家族へ伝えましょう。区画の返還と納骨の順序や日程は、施設の受入条件に合わせて調整します。

費用の内訳

机の上に置かれた電卓と方眼ノート、鉛筆
墓じまいの見積もりを確認する場面のイメージ。写真:Cht Gsml / Unsplash(イメージ)

墓じまいの予算は、古いお墓を返す費用と、新しい場所へ納骨する費用を合算して考える必要があります。撤去費の見積もりだけで全体の費用が決まったと受け取らず、別に払う項目を確認してください。

費用見積もりで確認する内容
墓石等の撤去・整地墓石、外柵、基礎などの撤去範囲と、運搬・処分を含むか
遺骨の取り出し誰が作業するか、工事費に含むか
遺骨を移すための費用搬送、一時保管、受入先が求める容器等
新しい納骨先使用料、納骨作業、彫刻、管理費、人数による追加
寺院等への支払い依頼する法要や、お寺との関係に応じて確認する費用
書類等の実費自治体の手数料、証明書、郵送料など

撤去費は区画の広さと作業条件で確認する

石材店には、区画全体の写真、広さ、通路や階段の状況を伝えます。現地の確認が必要かを聞き、見積もりのための出張費がある場合は先に確認しましょう。単に「1㎡あたり」で比較せず、どの石や基礎を撤去する見積もりなのかをそろえます。

工事費に、遺骨の取り出し、石材の搬出、処分、整地、管理者への完了報告のどこまでを含むかを確認します。追加作業が発生する場合には、実施前に説明を受けられるかも聞いておきます。指定石材店がある場合は、その条件の中で内訳を確認してください。

遺骨の人数で変わる費用を別に計算する

移す遺骨が3人分なら、1人分の使用料だけで予算を組まないようにします。一方、家族用の区画料金が設定されている場合は、人数を掛け算するだけでは計算できません。追加納骨の作業代も含めて確認します。

以下は合計の仕方を示す架空の例で、相場や実在施設の見積もりではありません。

仮の条件計算
古いお墓の撤去・整地30万円
新しい納骨先の使用料1人5万円×3人=15万円
ここまでの合計45万円
まだ含めていない費用納骨作業、搬送、書類、依頼する法要などを別に確認

この例で45万円は最終総額ではありません。未確認の項目を「追加なし」と扱わず、支払う相手ごとに確認し、見積もりがそろってから家族で予算を共有します。新しいお墓で毎年管理費がかかるなら、その負担も別欄に残しましょう。費用全体の整理にはお墓の費用の内訳と比較表も使えます。

工事代と法要のお布施を混同しない

法要を依頼する場合の費用は、石材店の工事代に自動的に含まれるものとして計算しないでください。どこへ、何の名目で支払うかを整理します。寺院墓地では、護持会費などの精算が必要かも寺院へ確認します。

「一括で手配する」というサービスでも、担当する範囲と、家族が直接支払うものを分けて確認します。書類の取得や申請を人に依頼する場合は、委任が必要か、誰がどの手続きを行うか、費用に何を含むかを聞いておくと、見積もりの範囲を把握できます。

必要書類は誰から受け取る?

書類は全国共通のセットを買いそろえるものではありません。まず現在のお墓の所在地の自治体で、最新の様式と添付資料を確認します。

書類・情報の例確認する相手確かめたい点
改葬許可申請書現在の所在地の自治体記入する人数、提出方法、不明項目の扱い
納骨の事実を示す管理者の証明現在の墓地・納骨堂の管理者申請書の証明欄を使うか、別紙か
新しい納骨先の資料受入先と申請窓口受入証明書が必要か、ほかの資料でよいか
名義人の承諾に関する書類現在の管理者と申請窓口申請者と使用名義人が違う場合の対応
区画を返すための書類現在の管理者工事前後の提出時期、完了確認の方法

鎌倉市の案内では、管理者による証明欄が申請書と一体になっています。使用権者と申請者が異なる場合の承諾書や、移転先が分かる資料も案内されています。こうした具体的な必要書類は、申請する自治体の案内で確かめます。

板橋区のお墓を移す手続きでは、受入証明書の代わりに移転先の使用許可書を認める一方、契約書等では受け付けないと案内しています。移転先の資料が手元にあっても、それで申請できるとは限らないため、発行を依頼する前に必要な種類を確認しましょう。

古いお墓で亡くなった方の情報が分からない場合や、管理者が分からない場合は、分かる範囲の資料を整理して窓口へ相談します。石に彫られた名前、墓地の記録、使用許可証などを確認し、推測した名前や人数で書類を完成させないことが大切です。

トラブルを防ぐ3つのポイント

相談の段階で分からないことを残し、関係者に確認する順番を決めておくと、説明の行き違いを減らせます。誰か一人がすべてを抱えず、家族で連絡する役割を分担しましょう。

  • 家族の希望と費用の分担を、契約前に共有する
  • 説明を受けた費用は、名目と支払先を記録する
  • 納骨先と手続きの見通しを確認してから工事日を決める

1. 親族の合意を先に

相談の記録には、「誰が賛成したか」だけでなく、まだ決まっていないことを書きます。個別のお墓を残したいのか、お参りする場所が欲しいのか、希望を分けると代案を考えやすくなります。費用を出す人と日常の連絡を担う人が同じとは限らないため、それぞれの役割も確認します。

合祀を選ぶか迷っている場合は、一度合祀した遺骨は取り出せない点を共有したうえで、個別に安置できる契約も含めて検討します。結論が出ないまま撤去を予約するより、候補を見学してから話し合いを続ける方法があります。

2. 離檀料の名目と説明を確認する

離檀(りだん)は、お寺の檀家としての関係を離れることを指します。墓地を返す際に離檀料の話が出たら、何に対する支払いなのか、ほかの法要や会費の精算と別なのかを確認します。

国民生活センターの見守り新鮮情報・第424号は、離檀料には明確な基準がなく、家族や親族も交えて話し合うよう案内しています。一律の金額や支払い義務をこの記事で判断せず、説明を記録し、不明な点を整理して相談してください。

話し合いが難しい場合は、消費者ホットライン188から消費生活センター等の案内を受けられます。個別の契約や権利関係で法的な判断が必要なら、弁護士などへの相談も選択肢です。詳しくは離檀料の確認と相談先をご覧ください。

3. 新しい供養先を先に確保する

費用だけで契約を決めず、遺骨の受入条件と納骨できる時期を確認します。予定が変わったときにキャンセルできるか、日程変更に費用がかかるかも、新旧の管理者と石材店へそれぞれ聞きます。

取り出しから納骨までに時間が空く場合は、誰がどこで遺骨を保管するかを共有します。書類の交付や工事を同じ日に詰め込まず、遅れが生じた場合に連絡する担当者を決めておくと調整しやすくなります。

墓じまい後の供養先を探すには

まず、新しい納骨先で何を大切にしたいかを家族で整理します。「管理を引き継ぐ人がいない」という事情だけで、納め方が一つに決まるわけではありません。個別で納める期間、お参りの方法、人数、将来の費用を確認して選びます。

希望候補の施設へ確認すること
家族で同じ場所に納めたい利用人数、入れる人の範囲、追加納骨の条件
一定期間は個別にお参りしたい個別安置の期限、いつから数えるか、延長の可否
遠方の管理負担を減らしたい通える交通手段、施設が行う管理、家族の連絡義務
将来の支払いを見通したい管理費、人数による追加料金、契約終了後の費用

候補を探す際は、永代供養墓・樹木葬・納骨堂から都道府県を選べます。分類の違いは永代供養墓の解説・樹木葬の解説・納骨堂の解説にまとめています。いずれも合祀を伴う契約では、一度合祀した遺骨は取り出せません。

最初の行動は、現在のお墓の名義・区画番号・管理者の連絡先を手元にそろえることです。そのうえで、このページ下の地域から石材店・納骨先を探すから候補を確認できます。石材店は今のお墓がある地域で探し、新しい納骨先は家族が通いやすい地域で探すと、問い合わせ先を分けて整理できます。

よくある質問

墓じまいの費用はいくらかかりますか?
撤去・整地の工事費、遺骨の取り出しと移動、新しい納骨先の使用料などを合計して考えます。区画の広さ、運搬条件、遺骨の数、移す先で総額が変わるため、工事費だけで予算を決めず、新旧それぞれの見積もりを確認してください。
改葬許可申請はどこに出しますか?
原則として、ご遺骨が現在ある墓地・納骨堂の所在地の市区町村に申請します。住んでいる場所や移転先だけで窓口を判断せず、現在の所在地の自治体で必要書類・申請方法をご確認ください。
墓じまいで離檀料の説明に納得できないときはどうしますか?
名目・金額・根拠を寺院へ確認し、家族も交えて話し合います。国民生活センターは離檀料に明確な基準はないと案内しています。個別の支払い義務を自己判断せず、困った場合は消費者ホットライン188などの相談窓口を利用してください。

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