送骨(そうこつ)とは?遺骨を郵送して納める方法の流れ・費用・注意点を解説
「送骨(そうこつ)」という言葉を、初めて目にした方も多いかもしれません。送骨とは、ご遺骨を郵送して、寺院や霊園に納め、永代供養・合祀してもらう方法です。直接持参するのではなく、宅配便(ゆうパック)でご遺骨を送るというこの方法は、遠方の墓じまいのあとの行き先や、費用をできるだけ抑えたい場合の選択肢として、近年知られるようになってきました。
「遺骨を送るなんて、失礼ではないか」「そもそも法律的に大丈夫なのか」——そう感じる方もいるでしょう。この記事では、送骨とはどういう方法なのか、費用の目安、実際の流れ、必要な書類、そして選ぶ前に必ず知っておきたい注意点まで、初めての方に向けて丁寧に解説します。
送骨とは — 「遺骨を郵送して納める」方法
送骨は、ご遺骨を受け入れ先の寺院・霊園に郵送し、そこで永代供養や合祀をしてもらう方法です。承継者がいない、あるいは管理の負担を抱えられない方に代わって、施設がその後の供養と管理を続けてくれます。永代供養や合祀の仕組みそのものは永代供養墓とはや合祀墓とはで解説していますので、この記事では「郵送で納める」という送骨ならではの部分を中心にお伝えします。
送骨が選ばれるのは、主に次のような場面です。
- 遠方の墓じまいのあと: 遠くのお墓を墓じまいし、取り出したご遺骨を、費用を抑えて永代供養したい
- 費用をできるだけ抑えたい: お墓を建てず、送骨による合祀で、負担を最小限にしたい
- 手元供養の、その先の行き先として: 自宅で安置してきたご遺骨の、最終的な納め先として
- 引き取り手のないご遺骨の行き先として: さまざまな事情で、供養を託したい
ご遺骨は郵送してよいのか — ゆうパックのみ可能
「そもそも、ご遺骨を送ってよいのか」は、多くの方が気にする点です。結論から言うと、ご遺骨を郵送すること自体は、違法ではありません。ただし、重要な決まりがあります。
ご遺骨を送れるのは、日本郵便の「ゆうパック」だけです。民間の宅配便各社は、約款でご遺骨の輸送を取り扱っていないため、送ることができません。この点は、送骨を進めるうえで必ず押さえておくべき事実です。
送骨を受け付けている寺院・霊園の多くは、専用の「送骨キット」(ご遺骨を安全に梱包するための箱や緩衝材、送り方の説明書など)を用意しています。このキットに従って梱包し、ゆうパックで送るのが一般的な形です。自己流で送るのではなく、受け入れ先の案内に沿って進めることが大切です。
費用の目安
送骨による永代供養・合祀の費用は、3万〜10万円程度が一つの目安です。この中には、次のようなものが含まれる形が多くあります。
- 送骨キット代(梱包用の箱・緩衝材など)
- 永代供養料(その後の供養と管理の費用)
- 埋葬・合祀にかかる費用
- 読経など、供養の費用
お墓を建てる場合と比べて、費用を大きく抑えられるのが送骨の特徴です。ただし、多くの送骨は合祀(ほかの方のご遺骨と一緒に埋葬すること)を前提としています。個別に安置する形を希望する場合は費用が上がり、そもそも送骨に対応していないこともあります。費用の内訳と、どこまで含まれるかは、受け入れ先に必ず確認しましょう。
送骨の流れ
送骨は、一般的に次のような流れで進みます。
- 受け入れ先を探し、申し込む: 送骨を受け付けている寺院・霊園を探し、内容と費用を確認して申し込みます
- 送骨キットが届く: 梱包用の箱や説明書、必要書類の案内が送られてきます
- 必要書類を準備する: 改葬の場合は改葬許可証、手元のご遺骨の場合は火葬許可証など(後述)
- ご遺骨を梱包する: キットの説明に従って、骨壺ごと、あるいは指定の方法で梱包します
- ゆうパックで送る: 受け入れ先へ、ゆうパックで送付します
- 供養・埋葬・報告: 受け入れ先で読経・埋葬(多くは合祀)が行われ、完了の連絡や証明が届きます
施設によっては、後日、合同の法要を営んでくれるところもあります。申し込みの際に、供養の内容や、その後お参りできるか(共同の参拝スペースの有無)も確認しておくとよいでしょう。
必要な書類 — 改葬許可証か、火葬許可証か
送骨には、ご遺骨の状況に応じて書類が必要です。ここは間違えやすいので、丁寧に確認しましょう。
- すでにお墓に納められているご遺骨を送る場合: これは「改葬」(お墓からお墓・供養先へご遺骨を移すこと)にあたります。**今お墓がある場所(改葬元)の市区町村が発行する「改葬許可証」**が必要です。手続きの流れは改葬とはで解説しています
- 手元にある(まだ埋葬していない)ご遺骨を送る場合: 火葬のときに交付され、火葬済の印が押された「火葬許可証」が必要になります
いずれの書類が必要かは、受け入れ先の寺院・霊園にも確認してください。書類が整わないと、受け入れてもらえないことがあります。墓じまいをして送骨する場合は、墓じまい全体の流れ(墓じまいとは)の中で、改葬許可の取得もあわせて進めます。
選ぶ前に必ず知っておきたい注意点
送骨は費用を抑えられる便利な方法ですが、取り返しがつかない選択でもあります。次の点を、必ず家族で確認してください。
多くは合祀 — 一度合祀すると取り出せない
送骨による供養の多くは、合祀です。一度、ほかの方のご遺骨と一緒に合祀されると、あとから特定のご遺骨だけを取り出すことはできません。「やはり手元に戻したい」「別のお墓に移したい」と思っても、できないのです。送る前に、本当にそれでよいか、家族全員で合意しておくことが欠かせません。
家族・親族の気持ちを確かめる
費用や手間だけで判断すると、あとで親族から「なぜ相談してくれなかったのか」と、しこりが残ることがあります。ご遺骨の行き先は、家族みんなにかかわる問題です。送骨を決める前に、関係する親族と話し合っておきましょう。
受け入れ先の信頼性を確かめる
送骨は、ご遺骨を託す相手を、直接会わずに決めることになりがちです。だからこそ、受け入れ先が信頼できるかを、慎重に確かめましょう。供養や埋葬の方法が明確か、費用の内訳がはっきりしているか、その後お参りできるか、連絡が取りやすいか——こうした点を確認し、納得したうえで申し込むことが大切です。
送骨と、ほかの方法との比較
ご遺骨の納め方には、送骨のほかにもいくつかの方法があります。迷ったときは、次のように整理すると考えやすくなります。
- 費用を最も抑えたい・その後の管理をなくしたい → 送骨による合祀が候補になります
- 一定期間は個別に供養したい → 送骨では対応が難しいことが多く、永代供養墓を直接契約する形が向きます
- 自然に還したい → 散骨という選択肢もあります
- 手元に置いて供養したい → 手元供養を続ける方法もあります
墓じまいのあとの行き先全体の選び方は改葬先の選び方にまとめています。送骨は、その選択肢の中で「費用を抑え、郵送で納める」ものと位置づけると分かりやすいでしょう。
送骨のメリットとデメリット
送骨を選ぶかどうかを判断するために、良い面と注意すべき面を整理しておきましょう。
メリット
- 費用を大きく抑えられる(お墓を建てる場合の何分の一かで済むことが多い)
- 遠方まで足を運ばずに、郵送で手続きを進められる
- その後の供養・管理を施設に任せられ、承継の負担がない
デメリット・注意点
- 多くは合祀で、あとからご遺骨を取り出せない
- ご遺骨を託す相手を、直接会わずに決めることになりがち
- お参りできる環境があるとは限らない
- 家族・親族の理解が得られないと、しこりが残ることがある
費用と手軽さというメリットの裏に、「取り返しがつかない」というデメリットがあることを、天秤にかけて考えることが大切です。
ご遺骨は、そのまま送る? 粉骨する?
送骨では、ご遺骨を骨壺のまま送る場合と、粉状にして(粉骨して)から送る場合があります。粉骨すると、かさが小さくなり、送りやすくなります。受け入れ先が合祀を前提とする場合、粉骨を求められることもあります。
粉骨は専門の業者に依頼できますが、これも一度行うと元には戻せません。どうするかは、受け入れ先の指示に従い、家族で相談して決めましょう。分骨して一部を手元に残したい場合は、粉骨や送骨の前に取り分けておく必要があります(分骨とは)。
送骨が広がってきた背景
送骨が知られるようになったのは、お墓をめぐる社会の変化と関係しています。承継する人がいない、遠方でお墓を管理できない、費用を抑えたい——こうした事情から墓じまいをする人が増え、その受け皿として、費用を抑えられる送骨が注目されるようになりました。かつては考えられなかった「郵送で納める」という方法も、お墓との付き合い方が多様になるなかで、一つの選択肢として定着してきています。
後悔を避けるために — 「一部を残す」という折衷案
「費用は抑えたいが、すべてを合祀してしまうのは寂しい」と感じる場合は、分骨して、一部を手元供養や納骨堂に残し、残りを送骨するという折衷案もあります。手を合わせる対象を身近に残しつつ、大部分は費用を抑えて供養できます。
また、迷いが残るうちは、すぐに合祀される送骨ではなく、一定期間は個別に安置される永代供養墓を選び、考える時間を確保する方法もあります。「安いから」だけで急がず、後悔のない形を選んでください。手元に残す方法は手元供養とはも参考になります。
受け入れ先を選ぶときの確認ポイント
送骨は、受け入れ先を直接訪ねずに決めることが多いため、次の点を、電話やメール、ホームページで確認しておきましょう。
- 供養・埋葬の方法: 合祀か個別か、いつ埋葬されるか、読経などの供養はあるか
- 費用の内訳: 何が含まれ、追加費用はあるか
- お参りの可否: 共同の参拝スペースがあるか、お参りに行けるか
- 宗派: 宗派を問わないか、特定の宗派の作法になるか
- 運営の実態: 実在する寺院・霊園か、連絡が取りやすいか、証明書を発行してくれるか
可能であれば、一度電話で話してみて、対応の丁寧さを確かめると、より安心して託せます。ご遺骨を託す相手だからこそ、「価格の安さ」だけでなく、この対応の誠実さを判断材料にしてください。
お参りを続けたい場合の考え方
「費用は抑えたいが、お参りは続けたい」という希望もあるでしょう。その場合は、送骨先に共同の参拝スペースがあるかを、必ず確認します。遠方の施設だと、結局お参りに行けないこともあります。
近くでお参りしたい気持ちが強いなら、送骨ではなく、自宅の近くの永代供養墓や納骨堂を選ぶ方が、希望にかなうこともあります。「費用」と「お参りのしやすさ」のどちらを優先するかを、家族で話し合っておくと、選択の軸がはっきりします。
送骨についてよくある質問
Q. 送骨は、失礼な方法ではないのですか?
ご遺骨を郵送することに抵抗を感じる方もいますが、送骨は、事情があってお墓を持てない・持たない方が、ご遺骨をきちんとした供養先へ託すための、現実的で正当な方法です。受け入れ先の寺院・霊園も、供養の一環として受け止めています。大切なのは、故人を思い、きちんとした行き先を選ぶ気持ちです。
Q. 送骨したあと、お参りはできますか?
受け入れ先によります。共同の参拝スペースやモニュメントがあり、そこへお参りできる施設もあれば、遠方でなかなか行けない場合もあります。お参りを続けたい場合は、参拝できる環境が整っているかを、申し込み前に確認しましょう。
Q. 複数のご遺骨をまとめて送骨できますか?
できる場合が多いですが、費用は基本的にご遺骨の数(体数)に応じてかかります。まとめて送る場合の費用や、梱包の方法を、受け入れ先に確認してください。
Q. 送骨と、直接持ち込む場合とで、供養に違いはありますか?
供養の内容そのものに、大きな違いはありません。送骨は「運び方」が郵送であるだけで、受け入れ先での読経や埋葬は、持ち込みの場合と同じように行われます。遠方で持ち込みが難しい場合の、現実的な手段と考えてよいでしょう。
Q. 送骨したら、証明書などはもらえますか?
多くの受け入れ先では、埋葬・供養が済んだことを知らせる書類や、永代供養の証明を発行してくれます。あとで「きちんと供養されたか」を確認できるよう、証明の有無も、申し込みの前に確認しておくと安心です。
Q. 遠くの地域からでも、送骨できますか?
国内であれば、ゆうパックが届く地域から送れます。北海道や離島など、遠方でも郵送できるのが送骨の利点です。ただし、海外からご遺骨を持ち込む場合は別の手続きが必要になるため、受け入れ先や専門の業者に相談してください。
まとめ — 「郵送はゆうパック」「多くは合祀で戻せない」を押さえる
- 送骨は、ご遺骨を郵送して寺院・霊園に納め、永代供養・合祀してもらう方法。遠方の墓じまい後や、費用を抑えたい場合に選ばれる
- ご遺骨を送れるのは日本郵便のゆうパックのみ。受け入れ先の送骨キットに従って梱包・送付する
- 費用は3万〜10万円程度が目安。お墓を建てるより大きく抑えられる
- すでに埋葬済みのご遺骨は改葬許可証(改葬元の市区町村発行)、手元のご遺骨は火葬許可証が必要
- 多くは合祀で、一度合祀すると取り出せない。家族の合意と、受け入れ先の信頼性の確認が欠かせない
送骨は、事情があってお墓を持てない方にとって、負担を抑えながら故人をきちんと供養できる選択肢です。ただし、取り返しのつかない面もあるため、費用や手軽さだけで決めず、家族とよく話し合い、受け入れ先を慎重に選んでから進めてください。行き先選び全体は改葬先の選び方もあわせてご覧ください。
よくある質問
- 送骨とは何ですか?違法ではないのですか?
- 送骨とは、ご遺骨を郵送して寺院や霊園に送り、永代供養・合祀してもらう方法です。ご遺骨の郵送そのものは違法ではありませんが、扱えるのは日本郵便のゆうパックのみで、ほかの宅配便では送れません。受け入れ先が定めた方法に従い、必要な書類を添えて送ります。
- 送骨の費用はどのくらいですか?
- 送骨による永代供養・合祀は、3万〜10万円程度が一つの目安です。専用の送骨キット代、永代供養料、埋葬・供養の費用が含まれる形が多くあります。お墓を建てるより大きく費用を抑えられますが、多くは合祀のため、あとからご遺骨を取り出せない点に注意が必要です。
- 送骨に改葬許可証は必要ですか?
- すでにお墓に納められているご遺骨を送骨する場合は、改葬にあたるため、今お墓がある市区町村が発行する改葬許可証が必要です。手元にある(まだ埋葬していない)ご遺骨の場合は、火葬許可証(火葬済の印のあるもの)が必要になります。受け入れ先に、必要書類を確認しましょう。